弦楽セレナーデホ長調op.22-ドヴォルジャーク-
この作品は、1875年5月3日から14日までの12日間という短いあいだに作曲されたと言われています。
曲が書かれる2年ほど前、ドヴォルジャークは相次いで3人の愛児を失うという絶望を経験しています。その残酷な試練に耐えた彼に、ようやくひとつの幸運が訪れます。オーストリアの政府による「前途有望な若手音楽家」に支給する奨学金に応募して、審査員のブラームスから認められたのです。
奨学金を授与され、貧しかった彼の生活は安定し、《交響曲 第5番》やいくつかの室内楽曲を完成させることが出来ました。このセレナーデもその1つです。
この作品は彼の意気揚々とした気分が表れていたり、時には少しせつなさや懐かしさも感じさせたりする魅力たっぷりの曲です。

第1楽章 Moderato

ビオラの刻みに乗って、第2バイオリンとチェロが主要主題を歌い出す。そこに第1バイオリンとコントラバスが加わり、全パートで掛け合いをしながら盛り上がっていく。
中間部でト長調へと転調すると、がらりと変わって、付点リズムが特徴的な、舞曲風の主題が現れる。このリズムをバックにチェロの伸びやかな旋律が印象的。
そしてまたホ長調の主題に戻りそのままホ長調の主和音で終わる。この中でたったの4小節ではあるが、チェロが二重奏で主題を奏でる(solo)のでご注目頂きたい。

第2楽章 Tempo di valse

嬰ハ短調の優美なワルツ。第1主題は何処となく少し切ない気分にさせるメロディ。第1部は、嬰ハ短調の主和音カデンツで終わる。
中間部は変ニ長調に転調。柔らかく流れるような音楽が続くが、marcatissimoで鋭く力強い音が鳴り響く。しかしその嵐のような場面もすぐに去り、また美しいメロディに戻る。
しばらくすると、またワルツのメロディが始まり、最後は1回目と違って、ピカルディ終止によって、嬰ハ長調の和音で幕を閉じる。

第3楽章 Scherzo; Vivace

明るいメロディに、軽やかな響きのスケルツォ。急速に高音域を行ったり来たりする旋律と、目まぐるしい伴奏は、徐々に勢いをつけながら、大きく盛り上がっていく。
中間部はイ長調で伸びやかな音楽。ビオラの動きのあるリズムに乗せてバイオリンが美しいフレーズを聴かせる。そしてそのフレーズがチェロに移ると、その一方で第1バイオリンによってスケルツォ主題が再帰する。
その後スケルツォ主題が再現され、コーダにもスケルツォ主題が現れて締め括られることから、単主題的な楽章であるということがわかる。

第4楽章 Larghetto

バイオリンの甘美なフレーズがすっとしみるように始まると、チェロが寄り添うようにやさしくその音色をエスコートしていく。そして、チェロのメロディがしなやかに流れると、バイオリンが、その後を追うように、美しい響きを聴かせる。
中間の短調の部分では、急に少し波風が立ったような音がすると、一瞬緊張した雰囲気が漂うが、すぐに仲直りして、ゆったりと静かにそのフレーズをたどっていく。
そして、何もなかったかのようにイ長調の旋律に戻り、そのままいつのまにか眠りにつくようにして終わる。

第5楽章 Finale; Allegro vivace

緊迫感のあるバイオリンの甲高い響きで始まる。ビオラの刻みに乗せて、付点リズムが特徴的な第1主題がバイオリンとチェロによって演奏される。
それから忙しない16分音符の走句にあわせて、バイオリンとチェロの掛け合いで盛り上げられると、第4楽章の主題が顔を出してきて徐々に静まってゆく。
再現部に戻り、盛り上がった頂点からどんどん音が下降して、その行き先が今度は第1楽章冒頭の旋律になっている。
ゆったりとなだらかなメロディを聴かせて、そのまま静かに終わるのかと思いきや、再び導入主題が現れ、大きく盛り上がって賑やかに最後を飾る。

参考文献

Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
クラシックの名曲入れ込み解説集(http://plaza.rakuten.co.jp/secovn/4000)
作曲家おもしろ雑学事典/著:萩谷由喜子

2012/1/4